相続というのは、突如発生する出来事です。家族や親族などの身近な方が亡くなったとき、まずは葬儀屋さんに連絡して、そこから親しくしていた方達に連絡をし、葬儀の手続きを進めていきます。
しかし、人が亡くなった後は葬儀が終わってひと段落というわけにもいかないことも多いでしょう。財産の行方や借金の確認、役所への手続きなど、実はやらなきゃいけないことは山積みです。
たとえば、親が亡くなった場合に配偶者が生存しているのであれば、財産管理などそのまま配偶者に任せておくということも多いかもしれません。
しかし、親が亡くなって相続人が子供達しかいない場合など、相続財産の分け方などが問題になってきます。すでに空き家になってしまった家の処分に悩むこともあるでしょう。
実際にいきなり相続が発生した場合にいったい誰に相談すればいいのか迷ってしまいます。役所にいけばいいのか、銀行にいけばいいのか、専門家に相談するべきか、ベストな選択肢はどれなのか。
そこで、ケース別に誰に相続が起きたら誰に相談するのが1番良いのか、ご紹介していきます
相続が発生したらまずは役所に相談?
一般的に相続が発生した場合、死亡届を役所に出しますが相続についての相談も役所の市民課などに相談しにいく方が多いようです。
ケースにもよりますが、財産が多額にわたる場合や、相続人が複数いる場合、借金がある場合など、今後どのように財産を分けようか悩んでいる場合は、役所の方から専門家に相談することを進められることが多いです。
役所は、すでにやるべき手続きが決まっている場合にはいいですが、相続問題を解決してくれることはありません。自分の知り合いに相続に詳しい方がいればその方に聞くのが1番早いですが、なかなか一般的に相続に詳しい方も少ないのが現状です。
相続の専門家って誰?
いざ専門家に相談すると言っても、相続の専門家が誰なのか一般にはあまり知られていません。相続に関する専門家は弁護士や司法書士、行政書士、税理士、ファイナンシャルプランナーなど士業に多いです。
弁護士や司法書士などの士業といっても全ての士業が相続に明るいわけではありません。相続を得意とする方とそうでない方がいます。また、それぞれの士業によって扱う業務が法律で決まっているので、相続のケースごとに相談する専門家を選ぶ必要があります。
一般的には、相続人同士で争いがある場合には弁護士、財産の中に不動産がある場合には司法書士、遺産分割協議書や遺言の相談なら行政書士、相続税が発生するケースは税理士といった感じのイメージです。
ただ、それぞれの専門家で被っている業務もあるので、具体的にそれぞれのケースに当てはめて分かりやすく表にしてみました。
ケース別に見た相続の相談先の特徴
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 銀行 | |
---|---|---|---|---|---|
紛争解決(調停や審判など) | ◯ | × | × | × | △ |
不動産の名義変更 | ◯ 提携司法書士に頼むのが一般的 | ◯ | × | × | △ |
遺言書の検認手続き | ◯ | ◯ 書類作成のみ | × | × | △ |
戸籍の取得、各種書類集め | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
相続放棄の手続き | ◯ | ◯ 書類作成のみ | × | × | △ |
相続税の申告 | × | × | × | ◯ | △ |
こんなときにはこの専門家 | 相続間で揉めていて話し合いでは解決しそうにない。 | 財際に不動産がある。相続登記が必要。 | 遺産分割協議書などを作ってもらいたい。 | 相続税が発生しそう。相続税の申告や相談。 | 相談は可能だが提携する各士業が手続きを行う |
上記のように、ご自身のケースに当てはめて専門家選びをするのがベストです。たとえば、相続手続きの書類作成だけを依頼したい場合に、弁護士に依頼するのが妥当かどうかは費用面から見てもどうでしょう。
書類作成だけなら行政書士に依頼した方が費用も安く抑えられる可能性が高いです。
そうではなく相続人間でケンカになっていてうまく話し合いができず、調停や審判などの裁判手続きまで検討しているのであれば迷うことなく弁護士に依頼するべきでしょう。
財産の額が高額で、相続税のことが心配であれば税理士に相談するのが懸命です。
最近では士業同士で連携してワンストップサービスを提供している事務所も多いので、必要に応じて各士業を紹介してもらうことも可能です。いずれにせよ、費用面、サービス面などを総合考慮して親身に寄り添ってくれる事務所に依頼するのが1番です。
相続の相談を弁護士にした方が良いケース
- 相続人同士で揉め事に発展しているもしくは、これから揉めそう
- 相続財産に多額で、弁護士費用を払っても余裕がある
- 争いの相手方も弁護士を付けてきている
- 自分がどのケースにあたるか不明だがとにかく相続手続きを丸投げしたい
弁護士は法律のエキスパートであるため法律上は全ての手続きに関与できます。争いがある場合でないと弁護士に相談できないわけじゃありません。
遺言書の作成や相続放棄の相談なども対応している事務所が多いです。一方、費用は他の士業よりもやや高額になることが多いようです。
相続の相談を司法書士にした方が良いケース
- 相続財産の中に不動産が混じっている
- 相続登記について相談したい
- 相続放棄や遺言の検認について相談したい
- 不動産以外にも会社の登記もお願いしたい(役員の変更など)
相続が発生した場合に相続財産に不動産が含まれているケースは全体の40%ほどある言われています。相続発生の際にはかなりの確率で司法書士が必要になってきます。
登記を含んだ手続きがある場合には、登記の専門家である司法書士に相談するのがベストです。
相続の相談を行政書士にした方が良いケース
- 遺産分割協議書などの書類を作成して欲しい
- 遺言書が見つかったので見てほしい
- 相続手続きの費用をできるだけ費用を抑えたい
- できることは自分でやって書類の作成だけを頼みたい
行政書士は書類作成のプロです。遺言書や遺産分割協議書の作成や相談などを行っています。
行政書士は紛争解決や登記を行うことはできないので、費用は少し安くなることもあります。ある程度自分でやりながら書類作成をメインにお願いする場合にもお勧めです。
相続の相談を税理士にした方が良いケース
- 相続税の相談、申告をしたい
- 相続財産の金額が大きく、相続税が発生する可能性が高い
- 普段から節税のことで相談している
- 相談内容が税金に間することメインである
税理士はご存じ通り税金のプロフェッショナルです。税金のことは他のどの士業よりも圧倒的に詳しいです。また、税理士以外の士業は税務申告はできません。相続税発生の可能性が高い場合は、税理士に相談するのがお勧めです。
銀行に相続の相談をするのはどうか?
信託銀行も相続に関する相談を行っているところも多くあります。ただ、信託銀行自身が相続の手続きを行うのではなく多くは提携する各士業が相続手続きを行っていくことになります。
信託銀行に相続の相談をするケースとして、相続財産の資産運用を考えているなど、運用財産が多い場合で直接士業に頼むよりも高額になったとしてもお願いしたい場合にお勧めです。
信頼できそうな専門家に依頼する
相続のことを依頼するとなると、不動産の権利証や銀行口座など、大切な資産を預けることになるためご自身が信頼できる人に相談するのがおすすめです。
知り合いに信頼できる方がいればその人に相談するのがいいと思いますし、最近ではホームページを持っている士業も多いのでそこで事務所の雰囲気や人柄、実績などを考慮して判断するのもいいと思います。
あとはお値段との兼ね合いもあると思いますが、相続の相談から依頼することに至った場合、数ヶ月〜1年程度の長期間の付き合いになることが予想されます。そのため、一度無料相談等を利用してご自身とフィーリングが合う専門家を探すのもおすすめです。
一度、依頼してから後から不満が出てきた場合は、途中で変更することはなかなか難しいからです。また、できれば手続きに発生する料金をあらかじめ提示してくれる専門家に依頼するようにしてください。
あらかじめ発生する料金が把握できると、後から金額のことで揉めることもありませんし、なにより安心して依頼することができます。
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記事監修者
ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。
はじめまして、司法書士の中瀬です。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。
当事務所では、相続の無料相談を実施中です。相続に関することならどんな些細なことでもお気軽にご相談いただけます。お一人で悩まず、相続のプロに相談することで早期解決をはかれます。おかげさまで弊所では、これまで数多くの相続のご相談、手続きに携わらせていただきました。その中で得た知識と経験をお客様の利益に還元させていただきます。LINEからもお問い合わせいただけます。まずはお気軽に無料相談をご活用ください。
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