久しぶりに実家の両親に会いに行ったら、なんか様子が変だな!?と感じることはございませんか?
物忘れが激しくなったり、同じことを何度も繰り返し言うようになったりと、認知症を疑うようなケースです。現代では認知症というのはけっして珍しいことではありません。
多くの方が、親が認知症になってから事後的に認知症についての情報収集を始めますが、実は認知症になる前から事前に対策をしておかないと後で色々と大変なことになるかもしれないのです。
認知症になると起きる家族間の弊害は身体的なことから法律的なことまで様々ですが、今回は、認知症になる前にしておくべき財産管理についてお話ししていきます。
実は65歳以上の7人に1人が認知症
日本の65歳以上の高齢者の人口は、世界で1位となっています。65歳以上の実に6人に1人が認知症というデータをご存知ですか?このままいくと2025年には5人に1人、人数にして約700万人の方が認知症になると言われています。この流れは、時代とともに加速していき、日本の未来にとって深刻な社会問題になっているのです。
自分の親が認知症になることで様々なリスクが想定されますが、自分の両親のどちらか一方もしくは両方が認知症になった場合の3つのリスクについてお話しします。
親が認知症になる前に対策しておくことで、後からの後悔を減らすことができます。
その① 銀行口座が凍結し預金が下ろせない
銀行などの金融機関は、認知症などにより判断能力が低下していると、後にトラブルになったりすることもあるので、本人の財産を保護するために認知症になった事実を知ると口座を凍結しお金を下ろすことができないようにします。
現実には、認知症になっても子供が親のキャッシュカードを使って事前に聞いた暗証番号でATMからお金を下ろしているケースも多いと思います。しかし、これは本来はやってはいけない行為であり、本人の同意なしで勝手に引き出したということで最悪の場合は窃盗罪や横領罪を疑われる可能性もあります。
金融機関はどうやって認知症を知るのか
親が認知症になり、その家族がある日、介護費用などでまとまったお金が必要になったとき、普段通りATMに行ってもATMでは1日の下せる限度額が制限されています。
そこで、家族が本人の委任状なしに金融機関の窓口に行って預金を下ろし、事情を説明することで金融機関は認知症の事実を知り、銀行口座を凍結するのです。
口座が凍結してしまった後では、成年後見という制度を利用することで財産管理を行なっていくことになりますが、成年後見制度を利用するにはそれなりの費用や時間もかかりますし、様々な制限も受けます。今回は成年後見制度についてはふれませんが、他の記事で書いていますのでそちらをぜひご参照ください。
口座が凍結することで受けるデメリットはつぎのようのようなものがあります。
- 介護サービスなどのまとまったお金が払えない
- 入院費用が払えない
- 援助してもらう予定だった子供の教育資金をもらえない
- 普段の生活費が下ろせない
その② 介護費用などのまとまったお金を準備できない
認知症が進んでくきて、このまま実家で介護するのは難しいとの判断に至った場合、老人ホームや介護施設などの福祉機関に入居するという手段が考えられます。そうなると、老人ホームや介護施設に入るための頭金や入居費用として高額なお金が必要になります。
両親の貯金や子供の余剰資金からそれらのお金が払えればいいですが、払えない場合は実家を売却するという選択肢が出てきます。
まとまったお金が必要になり、いざ両親の実家を売却しようと思ったときに、実家の名義(所有者)が認知症の父や母のままになっている場合、子供が勝手に売却することはできません。
不動産を売却するには、売り手と書いての意思表示が必要になりますが、売主が認知症の場合、意思が示せないので売買契約を結ぶことが難しくなります。その結果、介護費用などのまとまったお金を準備することができなくなります。
その③ 実家を売却しないと相続できない
子供たちに遺された財産が、不動産と一部の現金資産のみというケースはよくあります。現金であれば簡単に分割することができますが、不動産というのは簡単に分割することができません。この場合は、遺された財産を平等に分割することが難しく、平等に相続人同士で分けるなら実家を売却して全ての財産を現金化した上で、遺産の分割をすることで平等に分けることができます。
しかし、相続人のうちの1人が実家で両親と一緒に暮らしていた場合には、実家を売却してしまうとこれから住む家がなくなって生活できなくなってしまうという問題も生じます。「実家を誰が相続して、現金を誰が相続する」などの話し合いがうまくまとまらずに、相続人間でトラブルに発展するケースもあります。
そこで、財産を平等に分けることが難しいような場合には、両親が生前に遺言書などを作成して、「実家は長男に相続させる」などの意思表示を示すことが解決策として考えられます。対策方法としては遺言以外にもありますが、どちらにせよ生前に財産の行方について何らかの対策をとっておくことで相続人同士のトラブルを防ぐことができます。両親が認知症になってしまうと、遺言書の作成自体が難しくなってしまいます。両親が遺言書を作成できない場合には、亡くなられた後の相続人たちの生活が困ってしまう可能性もあります。
当事務所では認知症対策に力を入れて取り組んでおります。
認知症になってしまってからでは、取り返しのつかないリスクが様々ある中で、前もってやっとおけることはないのか?あるとすればどのような方法が最も効果的か?など、当事務所ではお客様の家庭状況に合わせたアドバイスを提供させていただいております。
相続対策、認知症対策に最も力を入れておりますので、少しでも不安のある方はお気軽にご連絡ください。
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記事監修者
ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。
はじめまして、司法書士の中瀬です。
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