相続が開始したら相続人同士で遺産を分けますが、相続人同士の仲が良いからと言って遺産分割を書面に残さないケースも多いです。実はこれは非常に危険です。普段仲が良い家族ほど注意していただきたいです。結論から申し上げますと遺産を分けた後は遺産分割協議書を絶対に作った方がいいです。今回はなぜ遺産分割協議書を作った方がいいのか、その理由も含めてお話しします。

遺産分割協議は書面にしなくても効力がある

遺産分割協議というのは法律上は書面にしなくても口約束だけで効力が生じます。ようするに相続人同士がみんなで納得したのであればそれで協議自体は成立なのです。家族間で仲が良ければ、それでよさそうな気もしますが、後々トラブルに発展するケースが続出しています。

家族間のやり取りでわざわざ堅苦しい書面を作るのもなんか水臭いし、かえってお互いを疑っているようで気分が悪いといった意見もあります。ここで1つ、ある相続の例をお話しします。

今回あげる家族の例としまして、父と母、それから兄と妹の一般的な4人家族がいます。父が亡くなったことにより、残された3人で父が残した遺産について話し合いをしました。この話の中で兄が「俺たちはまだ若いから親父の遺産は全部母さんがもらればいいんじゃない?どう思う?」と言い、妹も「う~ん、、、私もそんなに余裕ないけど、それでいいよ」と言いました。妹は快く了承したわけではなく、仕方なく了承した次第です。

3人は、家族同士で遺産分割協議書なんていう堅苦しい書類をつくるのも面倒だからそのまま放っておいたのです。遺産の中には父の残した不動産もありましたが相続による名義変更もせずに父名義のまま放置していました。

ここまでは、何も問題ないのですが数年後、母と妹の仲が悪くなったのです。

遺産分割協議書を作らなかったことが揉め事の原因に

親子喧嘩

その後母は、妹とはほとんど口も聞かずに他界してしまいます。母親の遺品を整理していると、1通の遺言書を発見しました。その内容は、「私の全財産は、全て兄の○○に相続させる」というものでした。

ここまでのお話で感の鋭い方はお気づきかもしれませんが、この先に兄弟喧嘩が始まります。

妹「お母さんの財産なんてどのくらいあるの?たいしてないでしょ?」これに対して首をかしげる弟。                   

兄「いやいや、母さんは親父が亡くなったときに全ての財産をもらってるだろ」 

妹「は?何言ってるの、そもそもお父さんの財産を誰がもらうかなんて決めてないでしょ。確か法律では平等に分けるはずよね?」「それか、これから私と2人で話し合って決めればいいでしょ」 

兄「今更なにを言ってんの?あの時の話し合いをなかった事にするなんて無理があるだろ」 

妹「じゃあ証拠はあるの?私はそんな内容に納得した覚えはないよ。」「文句あるなら裁判でもなんでもするけど?」

このようにして兄弟姉妹での揉め事は発生していきます。

口約束での裁判は非常に不利

遺産分割自体は、口約束でも成立しますが一度関係がこじれてしまうと、なかなか収拾がつかなくなります。その後裁判への発展した場合には口約束した内容を法廷で認めてもらうのは非常に難しいといえます。裁判は証拠が全てと言っても過言ではありません。この兄妹の間には証拠となるようなものは存在しないのです。

このケースであれば、そのまま裁判に発展した場合には妹の言い分が有利に働くでしょう。口約束での言った言わないを証明するのは本当に難しいことなのです。兄は思ったはずです、あのときに書類1枚残しておけばこんなことには。 

このような事態を避けるためにも遺産の分割を話し合ったら遺産分割協議書を作成したほうがよいのです。

遺産分割協議書は自分でも作れます

遺産分割協議は行政書士などの専門家に作成してもらう方法もありますが、相続人がご自身で作ることもできます。遺産分割協議書の書き方のルールというものが明確決まっているわけではありません。大事なことは必ず押さえるポイントを間違えずに書くことです。

遺産分割協議書をすべて手書きで書いても構いませんが、今ではパソコンのWordソフトなどを使うことが多いです。パソコンで作成した遺産分割協議書でも全く問題ありません。下記に大事なポイントをあげました。

遺産分割協議書を作るときの4つのポイント

遺産分割協議書で必ず押さえるポイント

・誰がどの財産をもらうのかを明確に書く
・債務を受け継ぐ場合は誰が受け継ぐのかを書く
・必ず相続人全員が実印を押す
・必ず相続人の全員で協議をすること

以上が特に押さえておきたいポイントです。まずは、遺産分割協議と分かるタイトルをつけ、誰がどれだけの財産をもらうのかをできるだけ具体的に書いていきます。不動産は自宅とかお店とかではなく、登記簿謄本に書いてある通りに細かく記載します。後でトラブルにならないように借金(債務)を承継する相続人がいる場合は必ずそれも書いておきます。

遺産分割協議書の1番最後のあたりに、相続人全員で署名と押印をします。署名はなくても大丈夫ですが、できるだけ直筆で書いた方が望ましいです。印鑑は必ず実印で押印しましょう。認印は絶対にだめです。理由としては、いくつかありますが上記でもお話ししたように遺産分割協議書は証拠となる書類です。実印でなければ誰の印鑑なのかという証明が難しいのです。

また、不動産の名義変更をする際に法務局に遺産分割協議書を提出します。そのときに、本人確認のために相続人の印鑑証明書もセットで付けないと登記を受理してもらえません。そのために実印を押すのと、不動産の内容は具体的に書く必要があるのです。

さらに、今後この遺産分割協議書に書いていない財産が仮に見つかった場合、そのときの処理の仕方も協議書の中に書いておいた方がいいです。たとえば、特定の相続人に相続させるのであればその旨を書いておきましょう。

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