相続発生後14日以内の手続き

相続が開始した後、様々な手続きをする必要がありますが、その中には期限が決めれているものも数多くあります。たとえば、相続放棄の手続きは相続開始から3ヶ月以内、準確定申告は相続開始から4ヶ月以内、相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内など、それぞれ期限が定めれています。その中でも、相続開始後14日以内という比較的短い期間に行わなければならない手続きについて今回はご紹介していきます。

突如の相続開始により、葬儀のことや親戚への連絡など相続人の方は慌ただしい日々を送ることになりますので、14日というのはあっという間に過ぎてしまいます。

死亡届の提出

  • 期限:死亡の日から7日以内
  • 届出先:死亡地、本籍地、届出人の住所地のいずれかの市区町村役場の住民登録窓口
  • 必要なもの:死亡診断書(もしくは警察による死体検案書)、届出人の印鑑

人が亡くなった時には、死亡の事実を知った時から7日以内に死亡届をする必要があります。死亡届は医師による死亡診断書もしくは警察による死体検案書を添付して行います。

家族の突如の死に直面し、悲しみの中、葬儀や通夜、告別式、初7日法要など最初の1週間は非常にやることも多く大変な時期です。その中でも絶対に忘れてはいけないのが死亡届です。

死亡届は、A 3サイズの紙になっていて、左側が死亡届の内容を記入する欄、右側が医師に書いてもらう診断書になっています。これらが合わさって死亡届として提出します。また、この書類は、後の相続の手続きで何度か使うことがあるかもしれませんので、何枚かコピーを取っておいてください。

届出人は、同居の親族が多いですが同居していない親族や、親族でない同居者、家主、後見人等も届け出ることができます。

また、代理人が届け出ることもできるため、葬儀会社が代わりに手続きを行ってくれるところも多いです。

火葬許可申請書

  • 期限:火葬の時まで
  • 提出先:死亡届出を提出する市区町村長
  • 必要なもの:火葬許可申請書

ご遺体を葬るために焼くことを火葬といいます。火葬というのは勝手に行うことはできず、死亡届でを受理した市区町村長から火葬のための許可を得る必要があります。

通常この手続きは、死亡届の提出と同時に行うため死亡届の提出と同時に火葬許可申請書の提出も行うといいでしょう。

なお、この死亡届などの手続きは葬儀会社を手配している場合には、葬儀会社が代わりに行ってくれることも多いです。この場合、死亡診断書も葬儀会社が何枚か余分にコピーを渡してくれることもありますので確認するようにしてください。

世帯主の変更届

  • 期限:死亡の日から14日以内
  • 提出先:被相続人の住所の市区町村役場
  • 必要なもの:住民移動届出、届出人の印鑑、届出人の本人確認書類

住民票は、世帯ごとに構成されていて個人の氏名や生年月日、住所などが記録されています。もし、世帯主の方が亡くなった場合には「世帯主の変更」をしなければなりません。

残された人が1人もしくは、15歳未満の者とその親権者のみである場合には世帯主の変更をする必要がありません。つまり、これらの場合には次に世帯主になる方が一目瞭然だからです。誰が世帯主になるのか分からない状態になってしまった場合だけ世帯主の変更届をする必要があります。

世帯主の変更は、亡くなった世帯主の方が亡くなった日から14日以内に市区町村役場に届出の手続きをします。必ず印鑑と本人確認できるものを持参していきましょう。

健康保険等の手続き

基本的に日本人は次のいずれかの保険に加入しています。⑴サラリーマンの方が加入する各種健康保険組合、協会けんぽ(全国健康保険協会)⑵自営業者だどが加入する国民健康保険(コクホと言われるもの)、⑶75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度があります。

  • 期限:協会けんぽまたは各健康保険組合の場合は5日以内、国民健康保険の場合は14日以内
  • 提出先:協会けんぽまたは各健康保険組合の場合は勤務先へ、国民健康保険の場合は市区町村役場へ
  • 必要なもの:資格喪失届出、死亡の事実がわかるもの(戸籍、死亡診断書のコピー等)、被保険者証

協会けんぽの場合

協会けんぽに加入している方は死亡の日の翌日から被保険者の資格を喪失します。資格喪失に関する手続きは、基本的に勤務していた会社の担当者が行います勤務先は、亡くなった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があるため、なるべく早めに勤務先に連絡するようにしてください。保険証も勤務先に返却します。

国民健康保険の場合

国民健康保険に加入している人は死亡の日から資格を喪失します。資格喪失の事実を死亡日より14日以内に市区町村役場に届出をし保険証を返還する必要があります。

持参するものは、保険証と死亡の事実を称するもの(死亡届のコピーや戸籍謄本)、窓口にいく人の本人確認書類、認印です。認印は不要の場合もあります。

後期高齢者医療制度の場合

後期高齢者医療保険に加入している場合、死亡の日から資格を喪失します。資格の喪失から14日以内にその事実を後期高齢者医療広域連合に届け出る必要があります。ただ、窓口は市区町村役場の窓口になっているので、市区町村役場に行き、後期高齢者医療資格の喪失届と保険証の返還を行います。

介護保険の手続き

  • 期限:死亡の日から14日以内
  • 提出先:被相続人の住所の市区町村役場
  • 必要なもの:介護保険の資格喪失届、介護保険被保険者証

介護保険の被保険者が亡くなった場合には14日以内にその旨を市区町村役場に届け出る必要があります。また、要介護認定を受けていた方が亡くなられた場合には、介護保険被保険者証も返還します。

なお、65歳以上の被保険者の方が亡くなられた場合には、保険料の未納がある場合、その分は相続人に請求がされます。多く収めていた場合には払いすぎた分が相続人に返還されます。

年金の手続き

国民年金や厚生年金の被保険者が死亡するとその翌日に資格が喪失します。

国民年金の場合

  • 期限:死亡の日から14日以内
  • 提出先:市区町村役場
  • 必要なもの;資格喪失届出、年金受給権者死亡届、死亡の事実がわかるもの、年金手帳

国民年金の被保険者が死亡した場合、その遺族は14日以内に市区町村役場に国民年金の資格喪失届出を提出する必要があります。その際にひちようなものは、年金受給権者死亡届と年金証書、死亡の事実がわかるもの(死亡診断書のコピーや戸籍謄本)、資格喪失届出(窓口で記入)です。

年金受給権者死亡届は報告形式のものですが、日本年金機構のHPからダウンロードして使用できます。ダウンロードして使用する場合は、2枚印刷して記入することになります。また、複写式のものを使用する場合は、ねんきんダイヤルに電話して送付の依頼をします。

厚生年金の場合

  • 期限:死亡した日から10日以内
  • 提出先:年金事務所
  • 必要なもの:資格喪失届出、年金受給権者死亡届、死亡の事実がわかるもの(戸籍、死亡診断書のコピー、住民票の除票等)、年金証書

厚生年金の被保険者が死亡した場合、その遺族は10日以内に年金事務所または事業主を通じて国民年金の資格喪失届出を提出する必要があります。その際に必要なものは、年金受給権者死亡届と年金証書、死亡の事実がわかるもの(死亡診断書のコピーや戸籍謄本)、資格喪失届出(窓口で記入)です。

年金受給権者死亡届は報告形式のものですが、日本年金機構のHPからダウンロードして使用できます。ダウンロードして使用する場合は、2枚印刷して記入することになります。また、複写式のものを使用する場合は、ねんきんダイヤルに電話して送付の依頼をします。

また、サラリーマンの妻などが扶養配偶者として国民年金法の第3号被保険者(厚生年金保険の被保険者の配偶者)となっていて年金保険料の支払いを免れていた場合、夫が死亡すると夫の厚生年金保険の資格喪失の手続きとともに、夫が死亡したことによって自分の国民年金の被保険者の種類が第3号被保険者から第1号被保険者に変わるため、その旨も14日以内に市区町村役場に対して変更届出の手続きも行う必要があります。

まとめ

今回の記事では死亡後14日以内に行う必要のある手続きをまとめさせていただきました。これまで紹介した手続き以外にも相続人関する手続きは様々なものがあります。

  • 未支給年金の請求(年金を受け取っていた方が亡くなられた場合、死亡時に生計を共にしていた遺族が、亡くなられた月分までの年金を「未支給年金」として請求できます。)公的年金は死亡月の分までもらえます。2か月に1度、偶数月の15日に前月、前々月の分が振り込まれるという後払いの形をとっているため、どのタイミングで他界しても未支給年金は発生します遺族は請求を忘れないように注意しましょう。
  • 相続放棄の申述(相続人が全ての遺産の承継を放棄する場合には、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に手続きをする必要があります。
  • 準確定申告(相続人が被相続人の各申告を代わりに行う必要があり、原則として相続開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に手続きをする必要があります。)
  • 相続税の申告(遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えるような場合には、被相続人の死亡したことを知った時から10ヶ月以内に相続税の申告をする必要があります。)

それぞれの手続きの期限に遅れることがないように、できるだけ早めに準備をしてできるタイミングで手続きを先に済ませてしまいしょう。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。

はじめまして、司法書士の中瀬です。
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