相続が発生した場合、相続を得意とする専門家を適切に選んで相談するのがおすすめです。この記事では、相続手続きに関わる弁護士、司法書士、行政書士、税理士の役割と特徴を詳しく解説します。各専門家の得意分野や、相続の複雑さに応じた適切な選び方を知ることができます。
また、相続手続きの流れや各専門家の関わり方、依頼するメリットとデメリットを比較することで、自分の状況に最適な専門家を選択するための判断材料が得られます。さらに、専門家選びの注意点や、よくある質問への回答も提供します。結論として、相続の複雑さや財産の規模、争いの有無などによって最適な専門家は異なりますが、複数の専門家に相談し、総合的に判断することが重要です。この記事を読むことで、相続手続きを円滑に進めるための知識と指針を得ることができます。
1. 相続手続きに関わる専門家の役割と特徴
相続手続きは複雑で多岐にわたるため、様々な法律や税務の専門家の支援が必要となります。ここでは、相続に関わる主な専門家である弁護士、司法書士、行政書士、税理士の役割と特徴について詳しく解説します。
1.1 弁護士の役割と得意分野
弁護士は、法律の専門家として相続全般に関わる幅広い業務を行います。
1.1.1 主な役割
- 遺産分割協議の仲介・調停
- 相続争いの解決
- 遺言書作成の支援
- 相続放棄の手続き
- 相続に関する訴訟対応
1.1.2 得意分野
弁護士は特に相続トラブルの解決に強みを持ちます。遺産分割で相続人間の対立がある場合や、遺言の有効性を巡って争いがある場合など、法的な紛争解決のプロフェッショナルとして活躍します。また、複雑な相続案件や高額な遺産がある場合にも、総合的な観点からアドバイスができます。
1.1.3 依頼するメリット
- 法的な観点から相続問題を解決できる
- 相続人間の利害調整に長けている
- 訴訟になった場合に即座に対応可能
弁護士に相談することで、相続トラブルの早期解決や公平な遺産分割が実現できる可能性が高まります。
1.2 司法書士の役割と得意分野
司法書士は、不動産登記や法務局への各種申請手続きのエキスパートです。
1.2.1 主な役割
- 相続登記手続き
- 遺産分割協議書の作成
- 相続人調査
- 相続放棄の申述手続き
- 法定相続情報証明制度の利用支援
1.2.2 得意分野
司法書士は不動産の相続登記手続きに特に強みがあります。相続した不動産の名義変更や、遺産分割後の登記手続きを正確かつ迅速に行うことができます。また、相続に必要な戸籍謄本等の収集や相続人の特定など、相続手続きの基礎となる調査も得意としています。
1.2.3 依頼するメリット
- 不動産登記手続きを確実に行える
- 相続に関する各種書類作成を任せられる
- 相続手続き全般のサポートを受けられる
司法書士に相談することで、相続手続きの負担を大幅に軽減できます。
1.3 行政書士の役割と得意分野
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や手続きの専門家です。
1.3.1 主な役割
- 遺言書の作成支援
- 預貯金や株式、自動車の名義変更
- 相続関係説明図の作成
- 各種許認可の相続手続き
1.3.2 得意分野
行政書士は遺言書作成のサポートや相続に関する各種書類の作成に強みがあります。特に、自筆証書遺言の作成支援や、相続手続きに必要な戸籍謄本等の収集代行などを得意としています。また、事業承継に関連する許認可の相続手続きなども行政書士の専門分野です。
1.3.3 依頼するメリット
- 遺言書作成を適切にサポートしてもらえる
- 相続に関する様々な書類作成を一括で依頼できる
- 官公署との手続きをスムーズに進められる
行政書士に相談することで、相続に関する手続きの円滑化と負担軽減が期待できます。
1.4 税理士の役割と得意分野
税理士は、相続税を中心とした税務のスペシャリストです。
1.4.1 主な役割
- 相続税の申告・納付手続き
- 相続財産の評価
- 相続税の節税対策立案
- 生前贈与の税務アドバイス
- 事業承継に関する税務相談
1.4.2 得意分野
税理士は相続税の申告や相続財産の評価に特に強みを持ちます。複雑な相続税の計算や、不動産、株式、事業用資産など様々な財産の適切な評価を行うことができます。また、相続税の節税対策や、相続に関連する他の税金(譲渡所得税、贈与税など)についても専門的なアドバイスが可能です。
1.4.3 依頼するメリット
- 適切な相続税申告で追徴課税のリスクを回避できる
- 相続財産の正確な評価により公平な遺産分割が可能になる
- 相続税の節税対策で税負担を軽減できる
税理士に相談することで、相続税の申告漏れや計算ミスを防ぎ、適正な納税が実現できます。
1.5 専門家の選び方と注意点
相続手続きにおいて、どの専門家に相談すべきかは案件の内容によって異なります。以下のポイントを参考に、適切な専門家を選びましょう。
状況 | 適している専門家 |
---|---|
相続トラブルがある | 弁護士 |
遺産の中に不動産がある | 司法書士 |
遺言書を作成したい | 弁護士または行政書士 |
相続税の申告が必要 | 税理士 |
相続手続き全般のサポートが欲しい | 司法書士または行政書士 |
また、専門家を選ぶ際は以下の点に注意しましょう。
- 相続業務の経験が豊富か
- 料金体系が明確か
- 相談しやすい雰囲気か
- 依頼者の立場に立って対応してくれるか
相続は一生に何度も経験するものではありません。不安な点は専門家に相談し、適切なサポートを受けることで、スムーズな相続手続きの実現が可能になります。
2. 相続手続きの流れと各専門家の関わり方
相続手続きは複雑で時間がかかるプロセスです。ここでは、相続開始から遺産分割、相続税の申告・納付までの流れと、各段階で関わる専門家の役割について詳しく解説します。
2.1 相続開始から遺産分割協議まで
2.1.1. 相続開始
被相続人の死亡により相続が開始します。この時点から以下の手続きが必要になります:
- 死亡診断書の取得
- 役所への死亡届の提出(7日以内)
- 葬儀の手配
この段階では、主に遺族が対応しますが、葬儀社や市区町村の窓口が支援してくれます。
2.1.2. 相続人の確定
次に、法定相続人を確定させる必要があります。以下の手順で行います。
- 戸籍謄本の取得(被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続関係説明図の作成
この段階で司法書士に依頼すると、戸籍の収集や相続関係説明図の作成を正確かつ効率的に進められます。特に、養子縁組や離婚歴がある場合は専門家のサポートが有効です。
2.1.3. 相続財産の調査・評価
相続財産を把握し、評価する必要があります。主な調査対象は以下の通りです。
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金、有価証券
- 生命保険金
- 自動車、貴金属などの動産
- 借金(債務)
この段階では、税理士が財産評価を行い、相続税の概算額を試算します。また、弁護士や司法書士が債務の確認や整理を支援することもあります。
2.1.4. 遺言書の有無の確認
被相続人が遺言書を残していないか確認します。遺言書がある場合、その内容に従って相続が進められます。
- 自筆証書遺言の場合:家庭裁判所での検認手続きが必要
- 公正証書遺言の場合:検認不要
遺言書の有効性や解釈について疑問がある場合は、弁護士や行政書士に相談することをお勧めします。
2.1.5. 遺産分割協議
相続人全員で話し合いを行い、遺産の分割方法を決定します。この段階で以下のような問題が発生することがあります。
- 相続人間での意見の相違
- 相続放棄や限定承認の検討
- 寄与分や特別受益の主張
適切な遺産分割のアドバイスを弁護士や司法書士、税理士から受けることも可能です。遺産分割協議がスムーズに進まない場合は、弁護士が仲介役として関与し、公平な分割案の提示や法的アドバイスを行います。
2.2 遺産分割協議書の作成と登記手続き
2.2.1. 遺産分割協議書の作成
遺産分割の内容が決まったら、それを書面にまとめます。遺産分割協議書には以下の内容を記載します:
- 作成日
- 被相続人の氏名と死亡日
- 相続人全員の氏名と住所
- 相続財産の内容と評価額
- 各相続人の取得財産と金額
- 全員の署名・捺印
司法書士に依頼すると、法的に有効な遺産分割協議書を作成できます。また、将来のトラブル防止のため、公正証書にすることも検討しましょう。
2.2.2. 不動産の相続登記
不動産を相続した場合、法務局で相続登記を行う必要があります。必要書類は以下の通りです。
- 登記申請書
- 遺産分割協議書
- 戸籍謄本(相続を証明する書類)
- 固定資産評価証明書
- 印鑑証明書
相続登記は司法書士の主要な業務の一つです。複雑な相続案件や複数の不動産がある場合は、特に専門家への依頼をお勧めします。
2.2.3. 預貯金の名義変更
銀行や証券会社で預貯金や有価証券の名義変更手続きを行います。各金融機関に以下の書類を提出します。
- 遺産分割協議書(写し)
- 戸籍謄本
- 印鑑証明書
- 相続人の本人確認書類
この手続きは相続人自身で行うことが多いですが、多数の口座がある場合や手続きが煩雑な場合は、行政書士や司法書士に依頼することで手続きを効率化できます。
2.3 相続税の申告と納付
2.3.1. 相続税の計算
相続税は、以下の手順で計算します。
- 課税遺産総額の算出
- 法定相続人の数に応じた基礎控除額の計算
- 相続税の総額計算
- 各相続人の納付税額の計算
相続税の計算は複雑で、専門知識が必要です。税理士に依頼することで、適切な節税対策を講じつつ、正確な税額計算が可能になります。
2.3.2. 相続税の申告
相続開始から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に相続税の申告を行います。主な必要書類は以下の通りです。
- 相続税の申告書
- 財産評価に関する書類(固定資産評価証明書など)
- 遺産分割協議書の写し
- 相続関係説明図
相続税申告は税理士の主要業務の一つです。特に大規模な相続案件や事業用資産がある場合は、専門家に依頼することをお勧めします。
2.3.3. 相続税の納付
申告期限と同時に相続税を納付します。納付方法は以下の通りです。
- 一括納付
- 延納(年賦払い)※条件あり
- 物納(不動産や有価証券で納付)※条件あり
納付方法の選択や手続きについても、税理士のアドバイスが有効です。特に延納や物納を検討する場合は、専門家のサポートが不可欠です。
相続手続きは長期間にわたる複雑なプロセスです。各段階で適切な専門家のサポートを受けることで、スムーズな相続手続きが可能になります。状況に応じて、弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
3. 相続の複雑さに応じた専門家の選び方
相続の状況は家族によって千差万別です。相続手続きを円滑に進めるためには、状況に応じて適切な専門家を選ぶことが重要です。ここでは、相続の複雑さに応じた専門家の選び方について詳しく解説します。
3.1 簡単な相続の場合
相続人が少なく、財産も預貯金や一般的な不動産のみといった比較的シンプルな相続の場合は、以下のような対応が考えられます。
- 司法書士への相談:不動産の名義変更や相続登記の手続きを依頼
- 税理士への相談:相続税の申告が必要かどうかの判断を仰ぐ
このような場合、まずは司法書士に相談するのが良いでしょう。司法書士は相続手続き全般に詳しく、必要に応じて他の専門家を紹介してくれる場合もあります。
3.2 遺産分割で揉めそうな場合
相続人間で遺産分割の話し合いがうまくいかない場合や、将来的に争いに発展しそうな場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
3.2.1 弁護士に相談すべき具体的なケース
- 相続人間で遺産の分け方について意見が対立している
- 相続人の中に行方不明者や認知症の人がいる
- 相続放棄をしたい相続人がいる
- 遺言書の有効性や解釈を巡って争いがある
弁護士は法律の専門家として、公平な立場から相続問題の解決をサポートしてくれます。また、必要に応じて家庭裁判所での調停や審判の手続きも代理して行ってくれます。
3.3 相続財産が高額な場合
相続財産が高額で相続税の納税が見込まれる場合は、税理士への相談が不可欠です。具体的には以下のような場合が考えられます。
ケース | 対応 |
---|---|
相続財産が基礎控除額を超える | 相続税の申告が必要 |
不動産や非上場株式などの評価額が高い | 適切な財産評価が重要 |
相続税の納税資金が不足 | 納税猶予制度などの検討 |
税理士は相続税の計算や申告だけでなく、節税対策のアドバイスも行ってくれます。特に、小規模宅地等の特例や非上場株式等の納税猶予制度など、複雑な制度の活用については税理士のサポートが欠かせません。
3.4 事業承継を伴う相続の場合
被相続人が経営者で、その事業を承継する必要がある場合は、より専門的なアプローチが必要となります。
3.4.1 事業承継における専門家の役割
- 税理士:非上場株式の評価、納税猶予制度の活用
- 弁護士:株式の分配方法、遺留分対策
- 中小企業診断士:事業の継続性評価、経営改善計画の策定
事業承継を伴う相続では、これらの専門家がチームとなってサポートすることが理想的です。
3.5 専門家の選び方のポイント
相続の専門家を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 相続に関する実績や経験が豊富か
- 初回相談は無料か、費用体系が明確か
- 複数の専門家と連携できる体制があるか
- 依頼者の状況を理解し、丁寧な説明をしてくれるか
また、一つの専門家に偏らず、必要に応じて複数の専門家の意見を聞くことも大切です。相続は長期にわたる重要な手続きなので、信頼できる専門家とじっくり相談しながら進めていくことが重要です。
3.6 まとめ:相続の複雑さに応じた専門家の選び方
相続の複雑さに応じた専門家の選び方をまとめると、以下のようになります。
- 簡単な相続:司法書士を中心に相談
- 遺産分割で揉めそう:早めに弁護士に相談
- 相続財産が高額:税理士のサポートが不可欠、相談窓口は司法書士や行政書士でも可
- 事業承継を伴う:税理士、弁護士、司法書士、中小企業診断士などのチーム対応
相続は一生に一度の重要なライフイベントです。適切な専門家のサポートを受けることで、スムーズな相続手続きと、円満相続を実現することができるでしょう。状況に応じて、最適な専門家を選び、複雑な相続を乗り越えていきましょう。
4. 各専門家に依頼するメリットとデメリット
4.1 弁護士に依頼するメリットとデメリット
4.1.1 メリット
- 相続トラブルの解決に強い
- 法的な観点からアドバイスが可能
- 遺産分割協議の立会いや代理人として交渉ができる
- 裁判になった場合の対応が可能
相続で揉めている場合や複雑な事案の場合は、弁護士に依頼するのが最適です。弁護士は法律の専門家として、相続人間の利害調整や法的な問題の解決に長けています。
4.1.2 デメリット
- 費用が高額になる可能性がある
- 相続税に関する専門知識が税理士ほど深くない場合がある
弁護士費用は事案の複雑さや取り扱う財産の額によって変動します。一般的な相続案件の着手金は20万円〜50万円程度、報酬金は経済的利益の10〜20%程度が多いと言われています。
4.2 税理士に依頼するメリットとデメリット
4.2.1 メリット
- 相続税申告のプロフェッショナル
- 節税対策に強い
- 財産評価に関する専門知識がある
相続財産が高額で相続税の申告が必要な場合や、複雑な資産構成の場合は税理士への依頼がおすすめです。税理士は相続税の計算や申告書の作成、各種控除の適用など、相続税に関する専門的なアドバイスが可能です。
4.2.2 デメリット
- 相続トラブルの解決には弁護士ほど強くない
- 相続登記などの手続や遺産分割協議書の作成などの書類作成は司法書士ほど明るくない
税理士の報酬は、相続税の申告で約30万円〜200万円程度が一般的とされています。ただし、案件の複雑さや財産の規模によって大きく変動しますので一概には言えません。
4.3 司法書士に依頼するメリットとデメリット
4.3.1 メリット
- 不動産の相続登記手続きに強い
- 相続に関する各種書類作成のプロ
- 費用が比較的リーズナブル
不動産の相続登記や遺産分割協議書の作成、相続放棄などの手続きが必要な場合は司法書士への依頼が適しています。司法書士は相続に関する様々な手続きや書類作成のエキスパートです。
4.3.2 デメリット
- 相続税などの知識は税理士に劣る
- 訴訟を伴う相続トラブルには対応できない
司法書士の報酬は、相続登記で約10万円〜30万円程度が一般的です。ただし、物件数や相続人の人数などによって変動します。
4.4 行政書士に依頼するメリットとデメリット
4.4.1 メリット
- 遺言書作成のサポートに強い
- 各種許認可手続きのプロフェッショナル
- 相続に関する幅広い相談が可能
遺言書の作成や相続に関する総合的な相談をしたい場合は、行政書士への依頼が適しています。行政書士は相続に関する幅広い知識を持ち、様々な角度からアドバイスが可能です。
4.4.2 デメリット
- 相続登記の実務は対応できない
- 相続税などの知識は税理士より明るくない
行政書士の報酬は、遺言書作成で約5万円〜20万円程度が一般的です。ただし、内容の複雑さによって変動します。
4.5 各専門家の比較表
専門家 | 得意分野 | 費用目安 |
---|---|---|
弁護士 | 相続トラブル解決、遺産分割交渉 | 着手金20万円〜、報酬金は経済的利益の10〜20% |
税理士 | 相続税申告、節税対策 | 約30万円〜200万円 |
司法書士 | 相続登記、各種相続手続き | 相続登記で約10万円〜30万円 |
行政書士 | 遺言書作成、総合相談 | 遺言書作成で約5万円〜20万円 |
相続の状況や課題によって、最適な専門家は異なります。複数の専門家に相談し、自分のケースに最適な支援を受けることをおすすめします。また、弁護士・税理士・司法書士などがワンストップで連携して対応するケースも増えていますので、総合的なサポートを受けたい場合はそういったサービスの利用も検討するとよいでしょう。
5. 相続専門家の選び方と注意点
相続手続きを円滑に進めるためには、適切な専門家を選ぶことが重要です。ここでは、相続専門家の選び方と依頼する際の注意点について詳しく解説します。
5.1 専門家の経験と実績を確認する
相続専門家を選ぶ際は、まず経験と実績を確認することが大切です。以下のポイントに注目しましょう。
- 相続案件の取扱件数
- 専門分野や得意な相続ケース
- 資格取得年数
- 所属する専門家団体
- 顧客からの評価や口コミ
特に複雑な相続案件の場合は、豊富な経験を持つ専門家を選ぶことで、スムーズな解決につながる可能性が高くなります。
5.1.1 専門分野を確認する重要性
相続に関わる専門家には、弁護士、税理士、司法書士など様々な職種があります。案件の内容に応じて、適切な専門分野を持つ専門家を選びましょう。
たとえば弁護士の中でも複雑な遺産分割案件に強い弁護士など、実戦経験も重要になります。税理士の中でも、実は相続税の申告実績が多い税理士は多くありません。
5.2 相談料や報酬体系を比較する
専門家によって相談料や報酬体系は大きく異なります。以下の点に注意して比較検討しましょう。
- 初回相談料の有無と金額
- 着手金、報酬金の算定方法
- 実費(交通費、書類取得費用など)の扱い
- 分割払いやクレジットカード払いの可否
複数の専門家の料金を比較し、自身の予算に合った選択をすることが重要です。ただし、単に安いからという理由だけで選ぶのは避けましょう。
5.3 複数の専門家に相談する重要性
相続案件は複雑で個別性が高いため、一人の専門家の意見だけでなく、複数の専門家に相談することをおすすめします。以下のメリットがあります。
- 多角的な視点から案件を検討できる
- 専門家の知識や対応の差を比較できる
- より自分に合った専門家を見つけられる
- 料金の相場感をつかめる
ただし、複数の専門家に相談する際は、それぞれの意見を適切に比較・検討する力が必要です。相談内容をしっかりとメモし、疑問点は積極的に質問するようにしましょう。
5.3.1 相談時の注意点
複数の専門家に相談する際は、以下の点に注意しましょう:
- 同じ情報を各専門家に提供し、公平な比較ができるようにする
- 相談内容や質問事項をあらかじめリストアップしておく
- 各専門家の回答や提案を記録し、後で見返せるようにする
- 料金や対応の違いだけでなく、信頼できるかどうかも重視する
相続の専門家選びは、その後の相続手続きの円滑さに大きく影響します。時間をかけてじっくりと選ぶことが、最終的には良い結果につながります。
5.4 専門家の対応力と信頼性を評価する
専門知識や経験だけでなく、専門家の対応力や信頼性も重要な選択基準です。以下の点に注目して判断してもいいでしょう。
- コミュニケーション能力(わかりやすい説明ができるか)
- 傾聴力(依頼者の話をよく聞いてくれるか)
- 迅速さ(連絡や対応がタイムリーか)
- 誠実さ(強引な営業や不必要なサービスの押し売りがないか)
- 守秘義務の遵守(個人情報の取り扱いが適切か)
特に、複雑な相続案件では長期的な関係構築が必要になるため、信頼できる専門家を選ぶことが極めて重要です。
5.4.1 信頼性を判断する方法
専門家の信頼性を判断するには、以下の方法が効果的です。
- 初回相談時の印象や対応力を重視する
- 事務所の雰囲気や設備を確認する
- 過去の依頼者の声や評判を調べる
- 所属団体や取得資格を確認する
- 実際の相続案件の解決事例を聞く
5.5 契約前の確認事項
専門家との契約を結ぶ前に、以下の事項をしっかりと確認しておくことが大切です。
- 具体的な業務内容と範囲
- 想定される期間とスケジュール
- 費用の詳細(着手金、報酬金、実費など)
- 支払い方法と時期
- 途中解約の条件と精算方法
- 守秘義務や個人情報の取り扱い
- トラブル発生時の対応方法
これらの事項は、必ず書面で確認し、不明点があればその場で質問して解消しておくことが重要です。後々のトラブルを防ぐためにも、契約内容をしっかりと理解しておきましょう。
5.5.1 契約書のチェックポイント
相続業務の契約書を確認する際は、以下の点に特に注意しましょう。
- 業務内容が具体的に記載されているか
- 費用の内訳と支払い条件が明確か
- 期間や納期が明示されているか
- 解約条件や精算方法が公平か
- 秘密保持義務が明記されているか
契約内容に不安がある場合は、別の専門家に内容を確認してもらうことも検討しましょう。
5.6 まとめ
相続専門家の選び方と注意点について解説しました。適切な専門家を選ぶことで、相続手続きをスムーズに進め、トラブルを回避することができます。経験と実績、料金、対応力、信頼性などを総合的に評価し、自分に合った専門家を見つけましょう。また、複数の専門家に相談することで、より良い選択ができる可能性が高まります。最後に、契約前には必ず詳細な確認を行い、安心して依頼できる状況を整えることが大切です。
6. よくある質問と回答
6.1 専門家に依頼せず自分で相続手続きを行うことは可能?
専門家に依頼せず、自分で相続手続きを行うことは可能です。しかし、以下のような点に注意が必要です。
- 法的知識の必要性: 相続法や税法の理解が不可欠
- 時間と労力: 手続きに多くの時間と労力がかかる
- ミスのリスク: 手続きの誤りによる不利益の可能性
- トラブル対応: 相続人間でのトラブル解決が難しい場合がある
簡単な相続案件で、相続人間の関係が良好な場合は自分で手続きを行うことも可能です。しかし、財産が高額な場合や相続人間で意見の相違がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
6.2 相続手続きにかかる期間はどのくらい?
相続手続きにかかる期間は案件によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 遺産分割協議: 1ヶ月〜数年(調停や審判になった場合は長引く)
- 相続登記: 申請から数週間〜数ヶ月(遺産分割協議がまとまっていることが前提)
- 相続税の申告・納付: 相続開始から10ヶ月以内
相続人間の関係が良好で、財産が複雑でない場合は、半年程度で手続きが完了することもあります。一方、相続争いが発生したり、海外に財産がある場合などは、数年かかるケースもあります。
7. まとめ
相続手続きは複雑で専門知識が必要なため、適切な専門家の選択が重要です。弁護士は法的な紛争解決に強く、司法書士は登記手続きに詳しいです。行政書士は各種申請書類の作成が得意で、税理士は相続税申告のエキスパートです。相続の複雑さや財産規模に応じて、適切な専門家を選ぶことが大切です。
簡単な相続なら司法書士や行政書士、揉め事がある場合は弁護士、高額な相続財産がある場合は税理士の助言が有効です。複数の専門家に相談し、経験や実績、費用を比較検討することをおすすめします。自分で手続きを行うことも可能ですが、ミスのリスクが高いため、専門家のサポートを受けることで、スムーズな相続手続きが期待できます。
MESSAGE
記事監修者
ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。
はじめまして、司法書士の中瀬です。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。
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