”死”というのは人間であれば誰もが経験することです。どんなに成功した富裕層であろうと、どんな立場の方でも必ず最後はここに行きつきます。人は自分の死が近づくと残された家族や身内のことを大切に考えるようになると言われています。では、ご自身の財産を後世に上手に残すにはどうすればいいのでしょうか?
遺言の大切さを知る
遺言というのはただの紙ではなく、亡くなった方の人生最後の意思表示です。通常は、意思表示というのは生きている間でしか効果がありません。たとえば、契約や承認などがそうです。
ただし、遺言の場合だけは特別に亡くなってから効力が発生します。しかも、その意思は法律によって強く守られます。遺言は自分の最後の意思表示をしっかりと後世に伝えるためにも強力な役割をもちます。
遺言は自分のためだけではなく、残された家族や親しい人達のためのものでもあるのです。
一般的に最も活用されるケースは亡くなった方の資産に対する遺産相続のためです。遺産相続というのは非常にトラブルになりやすく、これまでの親族間の関係性も一瞬にして壊れるケースもあります。特に亡くなる直前まで兄弟仲が悪かったり、親子関係が疎遠な場合にはトラブルになりやすい傾向にあります。
そのようなトラブルを事前に防止するために生前から自分の意思を明確にしておき、その意思に沿った形で遺産相続をしてもらうことが可能になります。
遺言書はこんな使い方ができます
遺言書の活用として1番多いのが自分の財産をあらかじめ決めた人に渡すために遺言書を書いておく方法です。たとえば、妻に家を残したいとか、長男に〇〇を譲りたいとか、お世話になった長男の嫁に金〇〇万円あげたいなど、自分の好きなように内容を決めることができます。
遺言がないケースの相続では、一般的に民法で決められた法定相続人に法定相続分によって財産は均等に分けられます。たとえば、配偶者1人と子供2人であれば、配偶者2分の1、子供それぞれ4分の1になります。
また、遺言書というのは相続人に金銭的なことだけでなく残された遺族に自分の思いを伝える道具として利用することもできます。書く内容は自由なので、遺族への感謝の気持ちを伝える手段にもなります。生前ではなかなか言えなかった言葉を感謝の念という形で書面に残しておくことで、亡くなった後も遺族は亡くなった方の気持ちを知ることができます。そうすることで、亡くなった方に対する感謝の念を失わず、法要の際にも感謝の気持ちをもって故人の霊を弔うことができます。
遺言といっても必ずしも法的な書面として利用されるだけではなく、様々な用途で使われます。
もちろん、法的な効果をもたせるには自筆で書いたり押印が必要など様々なルールがありますので、その点は注意が必要です。
いつか来るときのために一度、どんなことを書きたいのか、時間があるときにじっくり考えてみてください。
こういった家族への気持ちは、エンディングノートという形でノートにしておくのも有効です。メッセージが長文になる場合はエンディングノートにまとめて、遺言書とは別に作ることをお勧めします。遺言書は色々と形式を守らないと効力が発揮されないため、ノートになっていると遺言書としての機能を果たさない可能性があります。
当事務所では、遺言書やエンディングノートの作成サポートも行っております。遺言書のことでお悩みでしたらいつでも気軽にご相談ください。
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記事監修者
ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。
はじめまして、司法書士の中瀬です。
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