高齢のご家族の将来や、ご自身の「もしもの時」のことを考えたとき、
「財産はどう管理されるのだろう…?」
「子どもたちに迷惑をかけないためには、何を準備すべきだろう…?」
こうした不安をお持ちの方は、決して少なくありません。

近年、こうした不安を解消する方法として注目されているのが 『家族信託(民事信託)』 という方法です。

相続や認知症対策、生前対策を専門とする当事務所にも、
「家族信託って何ですか?」
「遺言や任意後見とどう違うんですか?」
「実際にお願いしたらどんなことをしてくれるの?」
と、毎年多くのご相談が寄せられています。

この記事では、家族信託に興味をお持ちの方が最初に知っておくべき基礎知識から、導入の流れ、メリット・注意点までを、家族信託のプロ目線でわかりやすくお話しします。


1. 家族信託とは何か?

家族信託とは、財産を持つ人(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に、財産の管理・運用・処分を任せる仕組みです。

簡単に言えば、
「認知症になる前に、元気なうちに“財産管理のバトン”を渡す制度」
とイメージすると理解しやすいでしょう。

● 家族信託の登場した背景

高齢化社会の進行により、

  • 認知症による財産凍結リスク
  • 子ども世代が遠方に住んでいて管理が難しい
  • 相続発生時にトラブルを避けたい

などの問題が増えてきました。

従来の制度(遺言・任意後見)だけではカバーしきれない部分を補うため、
柔軟な財産管理が可能な家族信託が注目されています。


2. 家族信託でできること

家族信託の大きな特徴は、柔軟性です。

遺言や成年後見では難しかったことが可能になります。

従来の制度では不可能だった財産管理ができるのが最大の魅力です。

(1)認知症による財産凍結を防ぐ

親が認知症になると、
・預貯金の引き出し
・不動産の売却
・リフォーム
などが一切できなくなるケースがあります。

信託しておけば、受託者(家族)が代わりに管理できるため、凍結を防げます。

(2)親の自宅を売却して老人ホーム費用に充てたいケース

認知症後の不動産売却は、後見人をつける必要があり、手続きも煩雑になります。
家族信託なら、受託者が必要なタイミングで売却し、費用に充てられます。

(3)柔軟な財産承継計画が可能

遺言では「次に渡す相手」までしか指定できませんが、家族信託は、

  • 親 → 長男 → 長男の子というように、二世代・三世代先の承継指定も可能です。

(4)相続争いの防止にも有効

財産管理の役割を明確にし、家族合意をもとに設定するため、相続時の無用な争いを防ぐ効果もあります。


3. 家族信託と他の制度の違い

家族信託を始める前に、他の制度と誤解しやすい点を整理しておく必要があります。

● 遺言との違い

  • 遺言は「死後の財産の渡し方」を決める制度
  • 家族信託は「生前〜死後までの財産管理」をカバー

家族信託は、“生きている間の財産管理”に強い

● 成年後見との違い

成年後見は、本人が判断能力を失ってから利用する制度で、本人の財産保護が最優先であり、
柔軟な財産活用はできません。

家族信託は、本人が元気なうちにスタートする制度(予防)。

● 任意後見との違い

任意後見は発動までにタイムラグがあり、
実際には“発動前後の穴”が生じがち。

▶ 家族信託なら、認知症発症前からすぐに管理をスタートできます。


4. 家族信託のメリット

家族信託には多くのメリットがあります。とても使い勝手が良い、実務でも人気の制度 です。

① 認知症対策として非常に強い

財産が凍結されず、必要な支払い・売却がスムーズになります。

② 手続きを家族だけで完結できる(家庭裁判所の関与なし)

成年後見と違い、家庭裁判所や報告義務がありません。
負担が軽い、柔軟性が高い。

③ 次の世代、その次の世代への承継指定ができる

「長男→長男の子」といった二世代、三世代への段階的な承継が可能です。

④ 不動産管理が合理的

・空き家の管理
・賃貸物件の契約や修繕
・売却や建替え
などがスムーズにできます。

⑤ 財産管理の透明性が高い

定期的に家族で話し合い、記録を残せば後のトラブルを防止できます。


5. 家族信託の注意点

家族信託はメリットが多い一方で、注意すべき点もあります。

● 信託契約の内容が複雑になりやすい

・受託者の権限
・財産の管理方法
・費用の扱い
・税務上の整理
など、考えることが膨大で、プロが設計しないと「穴」が生じやすいです。

● 家族全員の理解と合意が必要

後々のトラブル防止のため、必ず家族で話し合いをすることが大事です。特定の家族だけで信託を進めて、後からトラブルになるケースが多発しています。

● 税務面の確認が不可欠

・贈与税
・不動産取得税
・固定資産税
など、状況によって扱いが異なります。

司法書士や税理士などの専門家が連携して設計することが理想的です。


6. 家族信託を始める流れ

家族信託の当事務所での一般的な流れをご紹介します。

① 初回相談(無料)

現状の心配ごと、家族構成、保有財産、希望を丁寧にヒアリングいたします。

② 設計(スキーム立案)

・どの財産を信託するか
・誰を受託者にするか
・目的は何か
・将来の承継方法
など、詳細な設計を行います。

③ 家族会議

家族の理解と合意を得るための場ですので、非常に大事です。

司法書士が同席して分かりやすくご説明します。

④ 信託契約書の作成

司法書士が法的要件を満たした契約書を作成します。納得いくまで何度も修正します。

⑤ 信託登記(不動産がある場合)

信託をした不動産について法務局へ登記手続きを行います。

⑥ 信託開始後のサポート

・管理帳簿の作り方
・税務上の整理
・毎年のチェック
など、設計したら終わりではなく、必要に応じて当事務所の継続的なサポートも提供します。


7. こんな方に家族信託はおすすめです

家族信託は、以下のようなご家族に特に向いています。

  • 認知症リスクに備えたい
  • 老人ホームへの入居金・毎月の費用の捻出が心配
  • 賃貸物件を持っている
  • 親が一人暮らし
  • 遠方の実家の管理が負担
  • 相続争いを避けたい
  • 二次相続・三次相続まで見据えたい
  • 障がいを持つ家族の将来が心配

1つでも該当する場合、家族信託を検討する価値は十分にあります。


8. 専門家に相談するメリット

家族信託は「設計力」がすべてといっても過言ではありません。

家族信託は設計によって良し悪しが大きく変わる制度です。

そのため、絶対に家族信託を専門にしている司法書士に依頼する必要があります。登記と違って、司法書士事務所ならどこでも同じではありません。

信託財産、受託者の権限設定、管理方法、税務…など、
どれか一つでも抜けていると、将来トラブルになる可能性があります。

家族の未来に大きく影響するため、相談するなら家族信託を得意とする事務所にするようにしましょう。

▼ 専門家に依頼するメリット

  • トラブルのない信託スキームが組める
  • 税務・登記・相続の知識をまとめて判断できる
  • 家族会議に同席し、説得をサポート
  • 信託開始後のフォローも可能

家族信託は“契約して終わり”ではなく、
「設計・実行・運用」のすべてが重要なのです。実際に始まってからが大変とのお声も複数いただきます。

そのため、できるだけ早い段階でご相談されることをおすすめします。


9. まとめ

― 家族信託は「未来の不安」を解消する強力な選択肢 ―

家族信託は、

  • 認知症対策
  • 相続対策
  • 不動産管理
  • 老後資金の確保
  • 家族の安心の確保

といった複数の問題を、一つの仕組みで解決できる大変優れた制度です。

「うちの家庭でも必要かな?」
「親がそろそろ80歳になるけれど、元気な今のうちに準備したい」
「何から始めればいいかわからない」

そんな不安や疑問もお持ちの方は、どうぞお気軽に家族信託の無料相談をご利用ください。

早めの対策が、ご家族全員の安心につながります。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士・行政書士 中瀬雄太です。
相続の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。

はじめまして、司法書士の中瀬です。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。

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名古屋の司法書士・行政書士・海事代理士 中瀬雄太

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