はじめに:家族信託の見積もりに驚かれたあなたへ

「家族信託を検討しようと思って見積もりを取ったら、50万円、あるいは100万円近くかかると言われた」 「手続きをするだけで、なぜこんなに高額な報酬がかかるのか?」

今、このページをご覧になっている方は、司法書士やコンサルタントから提示された見積もりに戸惑い、足踏みをしているかもしれません。

確かに、司法書士を例に挙げると、一般的な「相続登記(不動産の名義変更)」が数万円〜十数万円であるのと比較すると、家族信託の初期費用は非常に高額に感じられます。「もしかして、ぼったくられているのではないか?」と不安になるのも無理はありません。

しかし、家族信託の報酬が高額なのには、明確な「理由」があります。 そして、その理由は、あなたとご家族の財産を将来にわたって守るための「安全装置」の価格でもあります。

この記事では、家族信託を得意とする現役の司法書士が「なぜ家族信託の報酬は高額なのか」という業界の裏側と、費用だけで選んでしまった場合に起こりうるリスク、そして結果的にコストパフォーマンスを良くするための考え方について、包み隠さずお話しします。


1. まずは知っておきたい「家族信託の費用相場」

まず、費用の全体像を整理しましょう。家族信託にかかる費用は、大きく分けて「実費」と「専門家報酬」の2つがあります。

① 実費(必ずかかる費用)

誰に頼んでも、自分でやっても必ずかかる税金や手数料です。

  • 公正証書作成費用: 公証役場に支払う手数料(信託財産の額による/数万円〜10万円程度)
  • 登録免許税: 不動産を信託する場合にかかる税金(固定資産税評価額の0.3%〜0.4%)
  • その他: 戸籍取得費、郵送費などの実費

② 専門家報酬(事務所によって異なる費用)

これが今回のテーマである「高い」と感じられる部分です。一般的には以下の計算式が多く採用されています。

  • コンサルティング費用(信託設計料):信託財産評価額の1.0%〜2.0%
    • (例)実家3,000万円+預金2,000万円=5,000万円の場合、50万円(税別)〜
  • 最低報酬額の設定: 財産額が少なくても「最低30万円〜50万円」と設定されているケースが一般的です。

「書類を作るだけで50万円?」と思われるかもしれませんが、実は私たちがいただいている報酬は「書類作成代」ではありません。では、その内訳を見ていきましょう。


2. 専門家報酬が高額になる「3つの理由」

家族信託の報酬が高い最大の理由は、これが単なる「手続き」ではなく、「オーダーメイドの仕組み設計(コンサルティング)」 だからです。

理由①:家族ごとの完全オーダーメイド設計であるため

登記申請のような「定型業務」であれば、ある程度決まったフォーマットに情報を当てはめれば完成します。しかし、家族信託にテンプレートは存在しません。

  • お父様の認知症の進行具合は?
  • お母様の生活費はどう確保する?
  • 長男と次男の仲は?
  • 将来、実家を売却する予定はある?それとも孫に残したい?
  • 相続税対策は必要?

これら無数の要素をヒアリングし、「10年後、20年後にご家族が困らない契約内容」を一から設計図として書き起こします。 この設計図(信託契約書)の条文一つで、将来不動産が売れなくなったり、税金で損をしたりするリスクがあるため、膨大な時間と法的知識を使って設計を行います。この「設計料」が報酬の大部分を占めているのです。

理由②:関係各所との調整という「見えない業務」

家族信託は、契約書を作って終わりではありません。実際に信託をスタートさせるためには、多くの壁を乗り越える必要があります。

  • 金融機関との交渉: 信託口口座(信託専用の口座)を作れる銀行を選定し、その銀行の法務部が納得する契約内容に調整する必要があります。
  • 公証役場との打ち合わせ: 公正証書にする際、公証人と綿密な文案のすり合わせを何度も行います。
  • 税理士との連携: 贈与税や相続税の課税リスクがないか、税務の専門家ともチェックを行います。

司法書士は、いわばこのプロジェクト全体の「現場監督」です。これら全ての調整を一手に引き受ける人件費が含まれています。

理由③:長期間にわたる重い法的責任

家族信託の契約期間は、数十年〜場合によっては30年以上に及ぶ超長期契約です。 もし、私たちが作成した契約書に不備があり、10年後に「不動産が売れない」「無効だ」ということになれば、お客様に多大な損害を与えてしまいます。

専門家は、その責任の重さを理解しているからこそ、最新の判例を研究し、二重三重のチェック体制を敷いています。高い報酬は、「将来にわたる法的安全性の担保」 でもあるのです。


3. 「安いから」で選ぶと危険?格安代行やDIYのリスク

最近では「家族信託、格安で承ります」「自分でできる家族信託キット」といったサービスも見かけるようになりました。費用を抑えたい気持ちは痛いほど分かりますが、そこには大きな落とし穴があります。

リスク①:金融機関で口座が作れない

ネット上のひな形をそのまま使ったり、経験の浅い専門家が作った契約書では、金融機関の審査に通らず、「信託口口座(財産管理用の口座)」が作れない ケースが多発しています。 口座が作れないと、親のお金と子供のお金が混ざってしまい、横領を疑われたり、信託自体が否認されたりする恐れがあります。

リスク②:遺留分トラブルや税務トラブル

「他の兄弟から『遺留分の侵害だ』と訴えられた」 「予期せぬタイミングで贈与税がかかってしまった」 これらは、法律と税務の知識が不十分なまま契約書を作った場合に起こる典型的なトラブルです。最初の費用を数十万円ケチった結果、将来数百万、数千万円の損害を被る可能性があります。

リスク③:不動産が塩漬けになる

これが最も怖いリスクです。契約書の記載があいまいであったために、いざ親が施設に入って実家を売ろうとした時、「この契約書では売却権限が認められません」 と指摘されるケースです。これでは何のために信託をしたのか分かりません。


4. 長期で見ると「成年後見制度」より安いという事実

「それでもやっぱり高い…」と感じる方へ。比較対象としてよく挙げられる「成年後見制度(法定後見)」とトータルコストを比べてみましょう。

成年後見制度の場合

認知症になってから利用する成年後見制度では、専門家(弁護士や司法書士)が後見人に選ばれると、亡くなるまでずっと月額報酬がかかり続けます。

  • 月額報酬: 3万円〜5万円程度
  • 期間: 仮に10年間利用したとすると…
  • 総額:3万円 × 12ヶ月 × 10年 = 360万円

家族信託の場合

  • 初期費用(コンサル報酬等): 50万円〜80万円程度(※財産額による)
  • 月額費用: 原則0円(家族が管理するため)

【結論】 初期費用だけで見れば家族信託は高く見えますが、5年、10年というスパンで見れば、家族信託の方が圧倒的にコストを抑えられるケースが多い のです。 家族信託の費用は「掛け捨て」ではなく、「将来かかり続けるコストをカットするための先行投資」と言えます。


5. 後悔しない専門家の選び方

最後に、高い費用を支払う価値のある専門家をどう見極めるか、そのポイントをお伝えします。

① 「家族信託専門士」などの認定や実績があるか

司法書士なら誰でも家族信託に詳しいわけではありません。実は、家族信託を取り扱ったことがない事務所の方が多いのが現状です。ホームページに「家族信託の実績数」や「解決事例」が豊富に掲載されているか確認しましょう。

② デメリットやリスクも説明してくれるか

「家族信託は万能です!」とメリットばかり強調する専門家は要注意です。家族信託にも、できないことやデメリットはあります。それを正直に説明し、他の手段(任意後見など)と比較してくれる専門家が信頼できます。

③ 金融機関との連携実績があるか

「地元の〇〇銀行で信託口座を作った実績はありますか?」と聞いてみてください。スムーズに答えられる事務所であれば、実務能力は高いと言えます。


おわりに:費用は「家族の安心」への投資です

家族信託の専門家報酬が高額な理由、お分かりいただけたでしょうか。

私たち専門家がいただいているのは、単なる書類作成料ではありません。 「親御様が元気なうちに、ご家族の想いを形にし、将来の争いや資産凍結を未然に防ぐ仕組み」 をご提供するための対価です。

確かに数十万円という出費は大きな決断が必要です。しかし、何も対策をしないまま認知症が進み、銀行口座が凍結されたり、不動産が売れなくなったりした時の経済的・精神的負担は、その比ではありません。

当事務所では、お客様の状況に合わせて、明確な料金体系とシミュレーションをご提示しています。「自分の家の場合はいくらかかるのか?」「そもそも家族信託が必要なのか?」を知ることから始めてみませんか?

まずは無料相談で、あなたの不安をお聞かせください。専門用語を使わず、丁寧にご説明させていただきます。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士・ 中瀬雄太です。
相続や家族信託の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。

はじめまして、司法書士の中瀬です。
最後まで記事をご覧いただきありがとうございます。

当事務所では、相続や生前対策の無料相談を実施中です。相続や生前対策に関することならどんな些細なことでもお気軽にご相談いただけます。お一人で悩まず、相続のプロに相談することで早期解決をはかれます。おかげさまで弊所では、これまで数多くの相続や遺言書、家族信託のご相談、手続きに携わらせていただきました。その中で得た知識と経験をしっかりとお客様の利益に還元させていただきます。LINEやメールからもお問い合わせいただけます。まずはお気軽に無料相談をご活用ください。

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