「何度か引っ越しをしけど、登記はそのままにして放置してしまっている...」「今の家に住んで10年になるけれど、登記上の住所は2つ前の社宅のままになっている…」

このようなケースは、実は非常に多く見受けられます。

2026年(令和8年)4月1日から施行される改正不動産登記法により、住所変更登記が義務化されます。

多くの方が「これから引っ越す人が対象でしょ?」と考えていますが、実は「すでに住所が変わっている人」こそ、早急な対応が必要*なのです。

この記事では、見落としがちな「遡及(そきゅう)適用」のルールと、複雑になりがちなケース、そして法人が注意すべき点について深掘り解説します。

1. 「過去の引っ越し」も許されない?住所変更義務化の罠

今回の法改正で最も注意すべき点は、「過去に遡って(さかのぼって)義務が適用される」ということです。

例えば、10年前に引っ越しをして、登記の変更をしていない場合でも、施行日(2026年4月1日)から2年以内に登記を是正しなければなりません。

これを放置し続けると、「正当な理由がない」とみなされ、5万円以下の過料の対象となります。

「住民票」だけで住所遍歴を証明できないリスク

登記手続きでは、「登記上の住所」から「現在の住所」までのつながりを公的書類(住民票や戸籍の附票)で証明する必要があります。

しかし、住民票の除票(転出した記録)や戸籍の附票の保存期間は、かつては「5年」でした(現在は150年に延長されていますが、古いものは既に廃棄されている可能性があります)。

長期間放置していると、「住所の履歴がつながらない」という事態になり、手続きが非常に煩雑になります(上申書の作成や権利証の提出などが必要になります)。

これが、「今すぐやっておくべき」最大の理由です。

2. 「相続登記の義務化」と「住所変更の義務化」の違い

最近よく耳にする「相続登記の義務化」と混同されている方も多いですが、これらは別のルールです。

項目相続登記の義務化住所変更登記の義務化
スタート2024年(令和6年)4月1日2026年(令和8年)4月1日
期限知った日から3年以内変更日から2年以内
罰則10万円以下の過料5万円以下の過料

両方に共通するのは、「過去の案件も対象になる」という点です。

「相続した実家の名義変更」と「自宅の住所変更」、どちらも放置している場合は、ダブルで過料のリスクがあるため注意が必要です。

3. 法人(会社)所有の不動産はどうなる?

個人の引っ越しだけでなく、会社が「本店移転」をした場合も、不動産の住所変更登記(所有権登記名義人住所変更)が必要です。

不動産登記と商業登記とは別物!

会社が本店を移転した場合、法務局で「商業登記(会社の本店移転登記)」を行いますが、これだけでは不動産登記簿の住所は変わりません。

商業登記とは別に、不動産についての住所変更登記を申請する必要があります。今回の義務化は、不動産登記の住所変更が対象です。

法人の場合、顧問税理士や司法書士が商業登記までは管理していても、所有不動産の登記変更まで手が回っていない(気づいていない)ケースが多々あります。

2026年以降は、法人の場合も「2年以内」の義務が課せられます。担当者は保有資産の登記簿を総点検する必要があります。

4. 住所変更登記にかかる費用と手間

放置していた期間が長ければ長いほど、証明書類の取得が難しくなり、手間が増えます。

主な費用(実費)

  • 登録免許税: 不動産1個につき1,000円
  • 証明書取得費: 住民票、戸籍の附票など数百円~数千円程度

司法書士報酬

一般的な住所変更登記であれば、1万円~3万円程度が相場ですが、以下のような複雑なケースでは加算される場合があります。

  • 住所移転が複数回あり、履歴を追うのが難しい場合
  • 市町村合併や住居表示実施が絡んでいる場合
  • 証明書類が廃棄されており、「不在籍不在住証明書」や「上申書」が必要な場合

5. まとめ:放置すればするほど住所変更登記は面倒になる

「たかが住所変更」と侮ってはいけません。

住所の履歴がつながらなくなってからでは、法務局への説明や追加書類の作成で、膨大な時間と費用がかかってしまいます。

  • 2026年の義務化まで待つメリットはありません。
  • 書類が取得できる今のうちに、正しい状態に戻しておくのが最善です。

当事務所では、ご自身の住所変更登記はもちろん、相続に伴う複雑な登記手続きまで幅広く対応しています。「昔の住所のままかもしれない」と不安な方は、まずは登記簿の確認から始めましょう。登記の事で不明点等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士・ 中瀬雄太です。
相続や家族信託の豊富な経験を活かし、皆様のお悩みに寄り添います。

はじめまして、司法書士の中瀬です。
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